印刷インキの環境配慮(大豆油インキとノンVOCインキ)

印刷インキの環境配慮について考えます。
さまざまな印刷物で、再生紙使用マーク(Rマーク)と大豆油インキマーク(ソイシール)が並んで表示されているのを目にするようになりました。最近では、再生紙問題の影響からか、再生紙使用マークがなくなり、大豆油インキマークだけを表示しているものも多くなってきています。

本来の趣旨(大豆製品の振興)等もありますが、環境配慮について考えてみると、大豆油インキの大きな特徴は、石油系VOCの削減です。

VOCとは揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)の略で、蒸発しやすく大気中で気体となる有機化合物の総称です。トルエン、キシレン、酢酸エチルなど、主なもので約200種類あります。光化学オキシダントやSPM(浮遊粒子状物質)の原因物質の1つであり、平成18年度4月1日より、大気汚染防止法でのVOCを含む有機化合物の排出規制が始まりました。

印刷インキは、大きく分けて色を表現する顔料成分と、顔料を分散し、印刷物に転移・固着させるための溶剤(ビヒクル・ワニス)でできています。

一般のインキでは、石油系溶剤が中心ですが、大豆油インキとして認定されるには、20%以上の大豆油を含むことが条件となっており(オフセット枚葉印刷の場合)、その分、石油系溶剤の割合が下がるため、石油系VOCの排出が少なくなります。

同様の方向性で、ノンVOCインキと呼ばれるものがあります。VOC FREEインキ、VOCゼロインキなど各社名称は様々ですが、VOC成分をゼロまたは1%未満にしたものです。VOCの削減効果で見た場合、大豆油インキよりノンVOCインキの方が勝っていることになります。

大豆油インキ・ノンVOCインキ 2007年度環境報告書・CSRレポートの調査では、ノンVOCインキの採用が32%となっており、2005年度の23%から大幅に増加しています。(大豆油インキは72%から63%に減少)

一般的な印刷物ではあまり見られませんが、先進的な環境配慮を行っている印刷物では一般化しつつあります。

しかし、ノンVOCインキの普及にはさまざまな障害があります。
印刷特性の改善などの問題のほか、インキメーカー、印刷会社等によって統一した定義・マーク等がなく、訴求力に劣ること。また、全く含んでいないのか1%なのか分からない、何を指してVOCとしているのか分からない、つまり環境負荷低減効果が明確ではないという環境アピール上の問題もあります。

とはいえ、インキの環境配慮は、VOCの削減が大きなポイントとなっていますので、インキ業界、印刷業界には基準やマークの統一した上、一層の普及を目指して欲しいと思います。

VOCの定義の問題については、後日あらためて考えます。


(2008年5月14日)