印刷物と地球温暖化(2)

前回に引き続き、印刷物の環境配慮を、地球温暖化防止をキーに考えてみます。
印刷関連でも次々に温暖化対策をテーマとする取り組みが広がっています。

□ グリーン電力を使用した紙容器の生産を開始

□ カーボンオフセット製品の封筒と名刺 ハート、環境配慮品拡大

これまで印刷物の環境配慮は、環境にいいとされる資材や製法の採用をアピールするものが中心でした。

温暖化対策、低酸素社会化に向け、どれくらい環境負荷を与えているのか、あるいはどれくら環境負荷を削減したのかCO2を指標として表すことが共通言語となりつつあり、イメージ的なアピールから、実質的な環境負荷低減の取り組みの数値評価「見える化」への転換がみえてきます。

こうした流れを踏まえ、印刷物のCO2排出量を計算するソフトも登場しました。

□ 印刷物のCO2排出量積算システム「EcoLoss(エコロス)Ⅱ」で環境経営を実践

ある商品の原料採取(資材)から、製造、流通、廃棄までそれぞれの段階で排出されたCO2の合計値を「カーボン・フットプリント」と呼びます。品物のCO2排出量が明確になれば、商品や資材購入の際の選択の目安になり、また企業の排出量削減努力が目に見える形になる大変有意義なものです。ヨーロッパで先行事例をみることができます。

しかし、計算方法・ルールなどが統一されていなければ、公平性に欠くのも事実です。こうしたことから経済産業省では、カーボン・フットプリント制度の実用化に向けた研究を始めました。今年12月のエコプロダクツ展にサンプル出品することを念頭に進められています。

算出方法の他、信頼性の担保、単なる排出量だけでなく削減目標等も合わせて表示すべきではないかなど、さまざまな議論が進められています。

□ 「カーボンフットプリント制度の実用化・普及推進研究会」の開催について

□ カーボンフットプリント制度の実用化・普及推進研究会(第1回)-議事要旨

印刷物の大きな役割は、情報を運ぶためのメディアであるということです。その環境性能によって商品を選択するという要素は少ないため(紙パッケージなどを除いて)、カーボン・フットプリントは不要なのでは、という意見もあります。

しかし、何であれ印刷をして配布することは環境に負荷をかけていることには違いありません。こうした環境負荷を適切に公にすることは、企業の社会的責任、また環境アピール・コミュニケーションを通じた企業価値の向上という面で重要です。

また、情報伝達媒体である印刷物は、環境への取り組みについて普及・啓発を促進する機能も同時に持っています。例えば、再生紙が普及したのは各自の取り組みの成果だけでなく、再生紙使用マーク(Rマーク)の効果も大きいといえます。単に再生紙を使うだけでなく、その取り組みを印刷物を通じて公開することで、賛同者を増やしてきました。

環境に負荷を与えて印刷物を使う以上、こうした貢献も重要な役割ではないでしょうか。

現在では、まだまだ一朝一夕にはいかないとは思いますが、近い将来カーボン・フットプリントなどの環境負荷の「見える化」が当たり前となることを想定して取り組みを行っていくことが必要だといえます。

カーボン・オフセットの問題点


以上、印刷物の地球温暖化対策の重要性を述べてきましたが、逆に問題点や課題についても徐々に明らかになってきています。

下記のカーボン・オフセット付ペットボトル飲料についての記事が特徴的です。

商品の売り上げの一部をCO2削減に当てるというものですが、中では「キャンペーンの専用サイトを見返してみても、カーボンオフセットの証明書も開示されていないし、アルゼンチンの風力発電でどのように削減されたのか、その経緯も書いていない。誰にいつ、どのくらい、どう貢献したのか――。消費者からは"見えない"」と疑問を投げかけています。

□ カーボンオフセット付き商品を買って"貢献"してみた
http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0807/18/news062.html

カーボン・オフセット、CO2排出権の売買といったものは、目に見えない価値を取り引きすることになります。特に情報公開や、透明性、信頼性が非常に重要になります。

カーボン・オフセット、グリーン電力など目新しいキーワードを、単にプロモーション、販売促進に利用する例も目に付きますが、こうした点がいい加減では、かえって環境を商売に利用しているだけととられ、企業価値を高めるどころか、逆の結果ともなりかねないのではないでしょうか。

(2008年8月11日)