第4回 印刷用紙の選び方(2) (7/23開催)

エコ印刷研究会「印刷用紙の選び方を考える(2)」についてのご案内です。
概要 印刷用紙は、印刷物の中で最も大きな要素を占める資材です。環境負荷の面でも、印刷用紙は、印刷の約5倍のCO2を排出しているといわれています。
用紙の環境配慮といえば、再生紙の採用が中心でしたが、森林認証紙、非木材紙、間伐材紙など、さまざまな用紙が登場し使われています。また、再生紙ラインナップの変更、再生紙偽装問題などが生じ、グリーン購入活動の見直しなど含め改めて検討することが求められています。
第3回セミナーに引き続き、用紙の環境配慮について研究します。
内容
  • 審査機関からみた森林認証制度の現状
    SGSジャパン株式会社 森林認証部主任審査員 佐々木聡子様
  • 政府の取り組み・グリーン購入法ガイドライン改正にみる最新動向
  • これからの用紙の環境配慮表示<Gペーパーマーク>のご提案 など
開催日時 平成20年7月23日(水) 13:30~16:00
会場 環境パートナーシップオフィス EPO会議室
東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F
地下鉄表参道駅(徒歩5分)/JR渋谷駅(徒歩10分)
※これまでの日本教育会館ではございません。ご注意ください。
参加費
(資料代)
3,000円(1名様につき)
講師 寺田 勝昭 氏 (P&Eマネジメント代表)
奥山 淳 (エコ印刷研究会事務局)
ご案内
(PDF版)
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セミナーの模様

1.政府の取り組み・グリーン購入法基本方針改定にみる最新動向

環境省総合環境政策局環境経済課 原田和幸様  第一部は、環境省総合環境政策局環境経済課 原田和幸様より、グリーン購 入法の目的とこれまでの成果、再生紙偽装問題を踏まえた基本方針改定の検討 経緯についてご説明いただきました。

 基本的な考え方は、環境配慮型製品(グリーン製品)を多少コスト・品質に難 があったとしても、政府が主体的に買い支えることで、マーケットを拡大し、 課題を解決、社会・経済全体をグリーン化することが目的であること、実際に コピー用紙を例に普及状況や価格の推移などその成果を紹介いただきました。

 基本方針の見直しについては、昨年、一部メディア等での再生紙は環境に悪 かったなどといった記事や、再生紙偽装問題などを受け、再生紙について改め て検討したこと、いずれの研究等でも、紙の製造工程だけでなくリサイクルま でを含めた広い範囲で見た場合、古紙を活用するほうが環境負荷が小さいこと が示され、意見公募の結果など、さまざまな検討の上、従来の方針を継続し、 コピー用紙は古紙パルプ配合率100%、印刷用紙70%と決定されました。

 会場からの質問では、グリーン購入法は、民間の範にもなるものなので、入 手可能性も含めて明確な方針を示して欲しいとの意見がありました。

 原田様からは、政府の民間とは印刷物の使用目的が違う、基本方針はあくま で政府の基準であり、商品パンフレットなど高い印刷品質の求められるもので は、基準は異なってしかるべき、検討案にある総合評価方式(古紙、白色度、 坪量、森林認証パルプの総合評価)など、政府の方針を単純に引用するのでは なく、自ら考えることも重要だと述べられました。

 グリーン購入ネットワークやエコ印刷研究会など民間の立場でどのような考 え方を持ち、購入基準とするのか、今後一層重要なテーマとなるのではないで しょうか。


2.森林認証制度の動向 -FSC・PEFCを中心として-

SGSジャパン株式会社 森林認証部主任審査員 佐々木聡子様  第二部では、SGSジャパン株式会社 森林認証部主任審査員 佐々木聡子様よ り、森林認証の目的や考え方などの基本知識、またFSCの新しい制度について 紹介いただきました。

 森林認証制度は、地球規模の環境問題である森林の減少・劣化に対応するた めに生まれたものであること、環境、社会、経済、ぞれぞれに配慮を行ってい くことが原則となっていること、また、FSC、PEFCの歴史や、森林認証面積の 推移などを紹介いただきました。

 次に、特徴的な制度であるCOC認証について詳しくご紹介いただきました。 森林認証は、単に森を認証するだけでなく、加工から流通まで全ての過程を認 証し、商品にラベル表示を行うことで、認証されていないものと厳重に区別・ 管理され、また消費者の選択の目安になるものであること、印刷物の場合、 製紙会社はもちろん、印刷会社が森林認証マークのついた印刷物を作る場合 は、COC認証を持っている会社に発注することが必要になることを紹介いただ きました。

 最後にトランスファーシステム、パーセンテージシステム、クレジットシス テムといったFSCの新しい制度について紹介いただきました。なかなか複雑な 仕組みですが、イラストを使ってわかりやすく解説いただきました。

 SGSジャパンは、FSCとPEFCの両方の審査を行っている国内唯一の機関で、双 方の森林認証制度を熟知されており、大変参考になる講演でした。


3.これからの印刷用紙の環境配慮 -<Gペーパー>の検討-

「印刷用紙の選び方を考える(2)」会場の様子 最後にエコ印刷研究会事務局 奥山 淳より、これからの環境配慮用紙および 環境配慮用紙マークについてご提案させていただきました。

 前回のセミナーで、「古紙パルプと環境に配慮したバージンパルプの合計配 合率」を用紙選択の目安とし、また印刷物に配合率等を表示することで、取り 組みを広げていくことが求められているのではないかとご提案しました。

 これは、グリーン購入ネットワークの基準など、古紙の活用に加え、バージ ンパルプについても環境配慮を行うおうという流れを受けたものです。

 アンケートや直接お話を伺った皆さんからは、多くの賛同をいただき、実現 に向けての検討をすすめて参りました。そこで明らかになった問題点、今後の 対応などについてご紹介しました。

 1つ目の問題点は、一口に「環境に配慮したバージンパルプ」といっても製 紙会社、民間(グリーン購入ネットワーク)、政府(グリーン購入法)など、それ ぞれの立場・基準等によって定義が異なっている点です。

 2つ目の問題は、複数の製紙会社へのヒアリングで明らかになった点ですが、 紙を製造する際、環境配慮度によるバージンパルプの分類・管理等は行ってい ないこと、仮に1点の製造時にその割合を明らかにすることができても、資材 調達などさまざまな問題から、製造を長期的に継続する中、その割合を一定化 することは困難で、都度変動するものであるという点です。

 つまり、グリーン購入ネットワークの基準など、製紙会社の基準とは異なる 定義で「環境に配慮したバージンパルプ」の高い用紙を、用紙銘柄(製品名)か ら選んで使うということは、(製紙会社から特別に情報提供等されない限り)で きないということです。

 では、何もできることはないのでしょうか?
 印刷発注者・発行者・利用者は、少しでも環境負荷の少ないものを選んで、 使い、それらが広がることを望んでいるのは間違いありません。

 1つ目の問題、環境に配慮したバージンパルプの定義が一律ではない点につ いては、奇しくもグリーン購入法、グリーン購入ネットワーク、エコマークな ど各種紙の基準改正が進められています。具体的にどういったものが環境に配 慮した、持続可能性があるといえるものであるのか明らかにすべきと、積極的 に意見を出すことです。

 2つ目は、その結果コンセンサスをえられた「環境に配慮したバージンパル プ」と、「その他のパルプ」(その定義には該当しないが使用を認めるパルプ) との2段階に分け、古紙パルプ配合率と同様に「環境に配慮したバージンパル プ」配合率を管理・公表することを、製紙会社に対し、強く要望することです。

 こうした流れを通じて、環境に配慮したパルプを社会に広げ、経済的なもの にもすることができるのではないでしょうか。

 エコ印刷研究会では今後も定例セミナーなどを通じて、取り組みを進め、実 現を目指したいと考えています。


(2008年7月23日)