第2回 大気汚染・VOC排出対策 (7/22開催)

エコ印刷研究会「大気汚染・VOC排出対策」についてのご案内です。
内容
  • 第1部 <水なし印刷のメリット>
    - 東レ株式会社 印写システム販売部 販売第2課 斧 理人 様 -
    環境配慮型印刷方式として定着した水なし印刷について、その仕組みや環境メリット、水洗浄性インキなどの最新事情を東レ株式会社 斧様よりご紹介いただきます。
  • 第2部 <印刷物の大気汚染・VOC排出対策>
    - P&Eマネジメント代表 環境スペシャリスト 寺田勝昭様 -
    印刷の環境問題の1つにVOCの排出があります。VOCとは揮発性有機化合物の略で、光化学オキシダントやSPM(浮遊粒子状物質)など大気汚染の原因物質とされています。印刷製造時のVOC発生源、排出削減の取り組みなどを研究します。
  • 第3部 <「エアコンパンフレット」の調査レポート>
    エコ印刷を理解し活用するには、環境配慮の普及状況などを把握することが重要です。商品パンフレット(エアコン)の環境配慮状況等を調査・報告いたします。
開催日時 平成22年7月22日(木) 13:30~16:30
会場 環境パートナーシップオフィス EPO会議室
東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F
地下鉄表参道駅(徒歩5分)/JR渋谷駅(徒歩10分)
参加費
(資料代)
3,000円(1名様につき)
ご案内
(PDF版)
PDFファイル


セミナーの模様

水なし印刷のメリット

東レ株式会社 印写システム販売部 斧 理人様

 第一部は、東レ株式会社 印写システム販売部 斧 理人様より、「水なし印刷のメリット」として、水なし印刷についてその仕組みや特徴を詳しくご紹介いただきました。

 水を使わない印刷方法のため、インキがにじまずシャープに印刷できる、紙伸びがない、安定性が高いなど品質面での特徴の他、環境面でも大きなメリットがあります。その1つがVOCの排出削減です。VOCとは、揮発性有機化合物の総称で、光化学スモッグなどの原因物質の1つとして大気汚染防止法での排出規制が行われています。

 一般のオフセット印刷は、印刷版の上に親水性部と親油性部をつくり、水と油が反発する性質を使い、親油性部にのったインキを紙に転写する仕組みです。その際に用いる水=「湿し水」に、エッチ液、IPA(イソプロピルアルコール)といった薬品を添加します。これらが印刷工程で揮発することでVOCとして排出され、また廃液も生じます。

 一方、水なし印刷は、水の役割を版面のシリコンゴム層が担い、インキとシリコンが反発する特性を利用します。湿し水を使用しませんので、VOCの排出削減、廃液削減につながります。VOCを含まないインキ=「ノンVOCインキ」との組み合わせで大きな効果が期待されます。

 残る課題は、機器の洗浄時に使用する洗浄剤(洗い油)からのVOC排出です。これも水なし印刷との組み合わせで使用できる「水洗浄性インキ」が登場し、大きく改善されようとしています。水洗浄性インキは、従来の洗い油ではなく専用のノンVOCの水性洗浄剤で洗うことができるインキです。これらを使用することにより、印刷工程からのVOCの排出を最小限にできます。

 日本水なし印刷協会では、ノンVOCインキ、水洗浄性インキ、水なし印刷の組み合わせを「W2システム」としてマーク表示を行っています。

 VOC排出削減の取り組みとして非常に優れている水洗浄性インキ、W2システムですが、洗浄剤の特性やコスト面での課題もあり、対応可能な印刷会社は少なく、十分に普及していません。印刷物を作る際の取り組み1つで大気汚染防止に貢献できます。できるだけ、水なし印刷やW2システムなど、VOC配慮型の印刷方法が望まれます。

大気汚染・VOC問題

P&Eマネジメント代表 環境スペシャリスト 寺田勝昭様

 第二部は、「大気汚染・VOC問題」として、P&Eマネジメント代表 環境スペシャリスト、また東京都のVOC対策アドバイザーを務められています寺田勝昭様に、印刷におけるVOCの排出とその対策についてご説明いただきました。

 印刷は日本のVOC排出の13%を占め、塗装に次ぐ2番目の排出源となっています。インキの中の揮発成分、オフセット印刷工程で使用する湿し水に添加される薬品(エッチ液、IPA)、機器の洗浄剤(洗い油)などから排出されます。東京都の調べでは、印刷・乾燥(インキ・湿し水)が20~30%、機器の洗浄が70~80%程度となっています。その他、製版、刷版処理の現像液、表面加工の塗料、接着剤等からも排出されます。

 インキについては、大豆油インキ、植物油インキなどのVOC配慮型インキを使うことでVOC排出を抑制できます。さらに、枚葉オフセット印刷では、ノンVOCインキというVOC成分を含まないインキも登場し、使用されています。

 印刷工程では、水なし印刷が有力な対策です。その他従来型の印刷方法でもVOC配慮型の資機材が開発され利用されています。

 最後は、最も排出量の多い印刷機器の洗浄です。第一部で斧様より詳しくご紹介いただいた水なし印刷での「W2システム」が最も効果的です。その他、VOC配慮型洗浄剤や自動洗浄システムなども有効です。

 大気汚染は、健康や社会生活に直結する大きな問題です。昭和40年代に光化学スモッグが問題になりましたが、近年「光化学オキシダント注意報・警報発令日」が再び増加傾向にあります。過去の問題ではないのです。印刷物を発注する皆さん、印刷事業者の皆さん、双方の取り組みが求められています。

印刷実例研究「商品パンフレット(エアコン)」

 第三部は、印刷実例研究としてエアコンの商品パンフレット、13点の調査結果をレポートいたしました。

 2007年までは、用紙は6割以上、インキは8割以上のパンフレットで環境表示が行われていました。2008年以降縮小し、停滞が続いています。2010年度調査では、用紙が23%、インキが46%となっています。

 エアコン=空気=大気汚染への配慮、という理由かどうかは分かりませんが、用紙よりインキの環境表示が多くみられるというのがエアコンパンフレットの特徴の1つになっています。



(2010年7月22日)